倫理

がん看護専門看護師の神津三佳です。

ケアをしていて「これでいいのだろうか?」と気になることは、倫理的な問題を孕んでいることがあります。

ところで、「倫理」とはどのように説明されるものでしょうか。

広辞苑で「倫理」「道徳」とは

倫理

①人倫のみち・実際道徳の規範となる原理。道徳 ②倫理学の略。

道徳

①人のふみ行うべき道。その成員の社会に対する、あるいは成員相互間の行為の善悪を判断する基準として、一般に承認されている規範の総体。法律のような外面的強制力を伴うものでなく、個人の内面的な原理。 ②老子の説いた恬淡虚無の学。もっぱら道と徳とを説くからいう。 ③小・中学校における指導の一領域。

倫理や道徳は、行為の善悪を考えること、と言えます。

日本看護協会の「道徳」と「倫理」

日本看護協会でも、「道徳」と「倫理」について用語の解説をしています。

「道徳(morality)」と「倫理(ethics)」は、ほぼ同じような意味で使用されることもあるが、「道徳」は善悪を判断する規範として社会の中で共有されている。一方で「倫理」は、 ある特定のグループの人々の規則、原則、価値や理想を指して使用されることがある1)。 引用文献1)若鶴麻理、長瀬雅子編、看護師の倫理調整力 専門看護師の実践に学ぶ

改訂版 看護にかかわる主要な用語の解説 2023年

倫理は、ある特定のグループが用いる基準、と言えます。

看護師の行動指針は、「看護職の倫理綱領」に示されています。

医療倫理の四原則

医療の場で、医療従事者が用いる基準として知られているものに、医療倫理の四原則があります。

医療倫理の四原則は、トム・L・ビーチャムとジェイムズ・F・チルドレスが提唱しました。

  • 自律尊重  自律を尊重する
  • 無危害 危害を加えない
  • 善行 最善を尽くす
  • 公正 患者を平等に扱う/限られた医療資源を適正に配分する

「これでいいのだろうか?」から倫理的な問題を考える

例として、認知症を持ち独居で暮らす方の拒薬を考えてみます。

訪問すると、訪問薬局が配薬をしているにもかかわらず、薬を拒否し、全く内服していないことがあります。

看護師として「これでいいのだろうか?」と思うことを医療倫理の四原則で考えてみると、

「内服したくない」という思いを尊重するという自律尊重はできているが、

内服していないことで危害はないか、認知症の方が安全に内服できるにはどうすべきか、

患者が内服するよう自分は最善を尽くしているか、

薬という医療資源が無駄になっていないか、

というように、問題を切り出し、対策を考えることができます。

倫理のイメージが少し鮮明になりましたでしょうか。