オンライン家庭教師の神津三佳です。
愛読書の仲野徹先生の「こわいもの知らずの病理学講義」の中に、
「突然変異は突然なのか」(p191)という項があって、うち捨てられたジャガイモ畑での栽培実験で違った性質を持つ変異株を見つけたド・フリースの話が出てきます。
ダーウィンが唱えた進化は、このような変異によって生じるものだと結論づけたのです。その時に導入した言葉がMutationです。(中略)mutというのはラテン語で「変化する」という意味なので、「突然」という意味は含まれていません。ド・フリースの考えを日本で紹介する時に、いきなりあらわれる変化なので、突然、とつけてしまったんでしょうね、きっと。
とあり、以来、突然変異という言葉が目や耳や口を通る時、心の中でいつも「突然変異は突然なのか」と一言添えています(笑)。
仲野先生は、「ミューテーションとカタカナ用語に戻してしまった方がスッキリしていいかもしれません」と書かれていますが、
今日はそのミューテーションの話です。
突然変異(Mutation)はDNAのコピーミスやエラー
実際には、突然変異の多くは、DNAが損傷を受けた際の修復過程で起きるそうです。
1塩基違うだけで、指定されるアミノ酸が変わったり、終了合図(UAA、UAG、UGA)になったりします。
突然変異は、欠失、挿入、置換、フレームシフトの4種類
欠失 | 1個から多数の塩基が抜ける |
挿入 | 1個から多数の塩基が入る |
置換 | 別の塩基に置き換わる |
フレームシフト | 1個から数個の塩基の欠失や挿入などによって、3つずつのコード枠がずれる |
突然変異があるからといって、直ちに病気になるわけではありません。
誰でも持っている多様性です。
突然変異が生殖細胞にあれば次世代へ受け継がれる
突然変異が体細胞にあっても次世代には受け継がれませんが、生殖細胞にあれば次世代に受け継がれる可能性があります。
「突然変異は突然なのか」・・・